Brexit(ブレグジット)を見据え、英国政府は暗号通貨関連の法整備や体制、投資家保護に力を入れ始めている。

2019年7月、英国政府は資金洗浄とテロ資金調達などの犯罪を防止するため、新たな計画を公表し、暗号通貨関連企業も資金洗浄防止などに関して厳密に適用する意向を明らかにした。

英国財務大臣フィリップ・ハモンドをはじめ、主要な金融機関及び法執行機関と計画について合意した。

今回の発表によると、2020年1月に資金洗浄防止とテロ資金調達対策の規定をすべての暗号通貨企業に適用する予定である。

体制を構築するために、ロンドンに拠点を置く国際金融グループ「バークレイズ」と「HSBC銀行」など主要な金融機関は共同で650万ポンド(約9億円)を出資する予定だという。

新たな規制を制定する目的は、法的な枠組みを国際基準まで引き上げるだけでなく、暗号通貨の違法行為に対する利用阻止と犯罪防止のためだ。

また英国の規制当局であるFCA(Financial Conduct Authority:金融行動監視機構)が、暗号通貨市場に関する一連の監督を引き受けることになり、今後関連企業はより強力な規制を受けることになるだろう。

フィリップ・ハモンド英国財務長官は「政府機関や法執行機関、企業のリーダーを集結させることで誤った資金の流れに対抗することができる」と述べ、不法資金洗浄行為の根絶のための徹底した姿勢を見せた。

また2019年7月3日、FCAは金融機関から個人投資家への「暗号通貨デリバティブ商品」および「ETN(Exchange Traded Note:指標連動証券、債券)」の売買の停止を提案している。

暗号通貨関連のデリバティブ商品に関するリスクを把握することが難しいため、個人投資家の投資対象として適していないとし、理由として以下の5点をあげた。

  1. 未だ信頼できる評価基準がない
  2. 現在の流通市場では悪用、犯罪(サイバー攻撃による漏洩など)が多い
  3. 価格変動が激しく安定していない
  4. 個人投資家の理解不足
  5. 暗号通貨関連の投資商品に対する投資ニーズの不明確

上記の理由から暗号通貨関連のデリバティブ商品への投資は予測不能な損失を生みかねないとした。
FCAによると売買停止により、年間7,500万ポンドから2億3,430万ポンド(約100億円〜315億円)の損失を防ぐことが可能と推定している。

FCAの戦略及び競争部門の最高責任者であるChristopher Woolard氏は、以下のように述べている

「暗号通貨デリバティブ商品の価格変動は、非常に激しく、暗号通貨市場に対する金融犯罪は、個人投資家にとって予期せぬ損失を発生させる可能性が高い。したがって、暗号通貨デリバティブ商品の売買取引は投資家には適していないと我々は認識している。」

また投資家保護を強化する流れから、イギリスの硬貨造幣機関である王立造幣局が暗号通貨のカストディサービスを提供することも明らかになっている。

ロンドンのシティ(金融の中心)はEU内はもちろんのこと、世界的にみても非常に金融サービスの進んでいる地域だ。離脱によって大きな影響を受けるとする専門家もいる。

しかし、EU側からすると英国が強力なオフショア地域になる恐怖もあるだろう。

Brexit(ブレグジット)で揺れる英国だが、いち早く暗号通貨にかかる法整備や体制を整えることで、国際金融市場における優位なポジションを維持、もしくは新たな役割を狙っているのかもしれない。