日本ではじめて億単位のICOを成功させ、ブロックチェーンメディア「ALIS」を運営するALIS(アリス)が、国内におけるブロックチェーン実装を加速するため、様々な取り組みを発表している。

2019年7月19日、同社はAuction Labと共に、国内ブロックチェーン業界の発展及び、将来のWeb3.0時代における自律分散型コミュニティの発展・維持を目指した共同研究を開始すると発表した。

制度設計(メカニズムデザイン)の第一人者であり、Auction Labを開催する坂井豊貴・慶應義塾大学教授の協力を得て、コミュニティの合意形成に関する様々な仕組みを「ALIS」上で展開・検証していくという。

またコミュニティ内での投票・評価のための仕組みを自社のブロックチェーンソーシャルメディア「ALIS」で実装。共同イベントで研究結果もオープンに発信する予定だ。

自律分散型コミュニティの発展に必要な合意形成を科学する

フェイスブックのリブラBitcoinを始めとする暗号通貨の台頭に端を発し、既存経済のあり方が問われており、ケンブリッジ・アナリティカ事件などを契機に、世界中で「Webにおける過度な中央集権は現代において大きな問題」であるという主張がなされるようになっている。

同社は、特定の企業や組織が個人のデータ(コンテンツや個人情報)を独占せずに、誰もが自分自身の意志で自身のデータを利用できる新しいWebの形「Web3.0」においては、暗号通貨やEthereumを代表とするブロックチェーン技術が重要な役割を果たすとしている。

Web3.0では、現在当たり前とされている中央(企業などルールを決める団体)の権力集中を良しとしない。その結果、今まで以上に経済圏・コミュニティに所属する一人ひとりが納得した上での意思・選好をプラットフォームへ反映できることが期待されている。

そのためには個々の経済的合理性に基づいた意思決定を、経済圏・コミュニティ全体の利益へとつなげる必要性があるため、高度なエコノミクスの知見が不可欠だという。

同社プレスリリースより

ALISは、コミュニティベースでのプロダクトの発展には、「それぞれが思いを持つメンバー間での合意形成プロセス及び、全体の意思決定から得られる納得度」が重要であり、Web3.0時代の自律分散型コミュニティの創造にはエコノミクス分野の専門知識が必要不可欠だという。

実際に日々ユーザが利用しているALIS上で、経済学に精通し暗号通貨にも造詣が深い坂井教授の助力を得つつ行う今回の研究では、今後必須となるであろう暗号通貨・ブロックチェーン領域でのエコノミクスのデザインにおいて有意義な知見が得られると踏んでいる。

  • ALIS:国内最大規模の暗号通貨コミュニティとブロックチェーン実稼働プロダクト
  • 坂井教授:メカニズムデザイン、集団的意思決定などエコノミクス分野の専門知識
  • Auction Lab:エコノミクスやオークションに興味関心が高く、議論可能なコミュニティ

上述のような3者の強みを相互に組み合わせながら、Web3.0時代のコミュニティ発展・維持に必要なエコノミクス分野の共同研究を行っていく。

今回の発表を受け、慶應義塾大学経済学部 坂井豊貴教授は以下のように述べた。

これまで紙と鉛筆で描かれていた設計図が、いよいよ社会に実装されるときがやってきた。実装するのは日本を代表するブロックチェーンカンパニーのALIS。最初の試みは「マジョリティー・ジャッジメント」。すでに学界では高い評価を確立している、投票やレーティングの画期的な新方式だ。社会は凄まじい速さで変化しているが、選挙制度や各種メディアの世論調査は、なかなか旧来のものから変わらない。今回のALISとの試みは、その新たなありかたを示すものだ。設計図からコードへ、そしてディスプレイの画面上へ。このプロジェクトに関われることに、胸を躍らせずにはいられない。

企業向けに「ブロックチェーン証明書発行サービス」を提供開始

またALISでは、ブロックチェーンの社会適用およびそのスピード向上を目的として、企業向けのブロックチェーン事業参入コンサルティング・開発支援も行なっている。

その一環として、学歴や資格、デジタルコンテンツなど様々な証明を行いたい企業・団体向けに『ブロックチェーン証明書発行サービス』の提供も開始した。

現在は、証明書が実際に本物かどうか検証するために、証明書の発行機関に問い合わせたり、どこかのお墨付きをもらったりするなどの証明方法が一般的である。同社は、ここにブロックチェーンを活用することで既存手法よりも簡単、瞬時、低コストで「信用」を検証可能な証明書を提供できるようにするという。

今後同社は、「ALIS」の運営を通じた1年以上のブロックチェーン実稼働サービス運用で得た経験を企業とシェアすることで、企業のブロックチェーン事業参入を企画から開発までトータルで支援し、日本におけるブロックチェーン実装を加速させていく意向だ。

直近の同社の動きについて、ALISの代表取締役社長である安昌浩氏は以下のように述べた。

海外ではブロックチェーンの実社会への適用が進む中で、国内でもその一助となれればとの思いから、今回の一連のリリースに至った。エコノミクスの問題は実際にトークンを発行したり非中央集権的にプロジェクトを進める際に必ず当たるため、少しでもそこに対する答えを見つけ出せればと考えている。また、ブロックチェーン証明書に関してはまさに今からでも実社会に適用することができる。これからも様々な企業の実業に役立つユースケースを想定したサービスをスピード感もって取り組んでいきたい。