三井住友海上火災保険株式会社は、株式会社Scalar(以下Scalar社)と株式会社クロスキャット(以下クロスキャット社)と共同で、社員の副業を含む総労働時間を把握するとともに、分散型台帳技術を用いて副業申請時の届出情報や副業先での勤怠情報の改ざんを防止する新たな勤怠管理のサービスの開発に着手する。

政府の成長戦略実行計画では、兼業・副業の定着や兼業・副業を通じた起業の促進を図っていく必要があるとされ、実社会においても副業・兼業を容認する企業は増加傾向にある。
しかし実際に社員の兼業・副業を認める場合、企業には対象社員の副業を含む総労働時間を管理する義務が生じる。また副業時に労働災害に遭った場合、現行の労災保険では、通常、本業と比べて少ないであろう副業先の収入のみを基準に補償額が算出されるため、万が一のときに生活に支障を来たす可能性があるといった課題がある。副業・兼業の定着には、労働者の就業時間管理や健康管理、労働災害発生時の給与補償などの課題解決が不可欠となる。

そのため、副業先での労働時間を本業会社の勤怠管理システムで管理できる仕組みを整えて対象社員に副業時の勤怠情報の入力を義務付け、本業会社に対しては社員の副業時における労災の上乗せ補償を提供することができれば、労使双方の課題の解決につながるものとみているようだ。

3社は下記のような役割分担をし、開発を進める。

  1. 【クロスキャット社】:副業先を含めた社員の総労働時間を把握できる勤怠管理システムの提供
  2. 【Scalar社】保険適用のエビデンスとなる勤怠管理などの情報の改ざんを防止する基盤の提供
  3. 【三井住友海上火災保険】:副業先で社員が労災事故に遭った場合の補償の提供

2019年5~6月にかけて実証実験を既に実施しており、下記のような結果を得たという。

  • クロスキャット社が提供する勤怠管理ソリューション「CC-BizMate」を使い、給与計算に影響を与えず本業、副業それぞれの就業時間を入力、集計できることを検証し、多様な副業・兼業の形態に対応するための一部システム改修を伴うものの、各企業の給与計算に影響しない就業時間把握が可能であった。
  • 事前提出される副業届の内容および承認された本業、副業それぞれの就業時間データが、Scalar社が提供する分散データベースソフトウェア「ScalarDLT」を用いて非改ざん性が担保され、保険会社が補償を提供する際の根拠となる証跡として有効であるかを検証し、副業届、就業時間データともに事後改ざんはすべて検知できた。また改ざんされていないデータは初期入力のままであり、保険金支払いの証跡として有効であることを確認。

実証実験の結果から改ざんがされないことを担保でき、副業先での労災事故発生の際、有効な証跡として活用が期待できる。今後は三社で連携し、補償サービスの付与なども視野に年内のリリースを目指すという。