世界最大のスーパーマーケットチェーンである米ウォルマートも独自暗号通貨プロジェクトを構想しているようだ。「Libra」をはじめ米国を中心に同じようなプロジェクトが出てきているのには、米国が抱える「アンバンクド層」に一因がある。

2019年8月5日、米国特許庁(USPTO)に登録された特許出願によると、ウォルマートの子会社であるウォルマートアポロ(Walmart Apollo、LLC)が「ブロックチェーンを通じた暗号通貨システムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR DIGITAL CURRENCY VIA BLOCKCHAIN)」という題目で特許を出願した。

出願された特許の内容を見ると、法定通貨に独自暗号通貨を連動させ、購買データをブロックチェーンに保管するシステムのようだ。

ウォールマートでは、2014年より店舗間での送金サービスを提供しており、サービス手数料は50ドルまでの送金で4.50ドル、1日の送金上限金額となる900ドルまでは9.50ドルと2種類となっている。

今回特許として提出された暗号通貨プロジェクトでは、ユーザーに対してほぼゼロに近い安価な手数料を提供することができるという点を強調しており、これにより低所得層を助けることができるとしている。

フェイスブックが構想している「Libra」も、世界中にいるアンバンクド層に対し、金融サービスを提供することを目的としている。

米国では「十分な金融サービスを受けられていない人」というのは大きな社会問題となっている。

米国連邦預金保険公社(Federal Deposit Insurance Corporation : FDIC)によると、2013年時点で「アンダーバンクト(under-banked)」世帯、つまり「口座はあるものの、ノンバンク為替、ノンバンク小切手現金化サービス、ペイデイローン(給与を担保にした短期小口ローン)、購入選択権付賃貸契約、 質屋などを利用している」は全世帯の20%、概算で大人5090万人、子ども1660万人にも達するとされている。また当座預金・普通預金口座すら保有していない「アンバンクド(un-banked)」世帯は、全世帯の7.7%にあたる960万世帯、概算で大人1670万人、子ども870万人とされている。

現状、米国のクレジットカードでは多くの消費者が目先のキャッシュバックと残高にかかる事後的な金利を適切に判断できていないことや、徴収される手数料が予測不可能であることなど、「アンバンクド層」は信用力がない(証明できない)ため、不当な手数料を払うことなどが問題視されている。

このような現状から米国において「ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)」が重要な政策、施策として注目されている。

それに伴い、「ファイナンシャル・ヘルス」という金融商品と金融行動を人生に役立てることで、出費、貯蓄、借入、人生設計に関して管理する能力についても広まってきている。米国では、約1億3800万人がファイナンシャル・ヘルスを失っているとされている。

ウォルマートは以下のように述べている。

「低所得層は負担の累積しており、高い銀行手数料やクレジットカードの手数料のために生活必需品を購入するためのお金を浪費してしまう。低所得層のような銀行とのアクセスが遠い人に資産管理の代替サービスを提供することができるだろう。」

米国を中心に様々な独自暗号通貨プロジェクトが出てきているのは、米国が抱える「アンバンクド層」と呼ばれる人々が多く存在しているのも背景の一つだと言える。