2019年8月15日、GMOインターネットグループのGMOフィナンシャルホールディングス株式会社の連結会社で、暗号通貨交換業を営むGMOコイン株式会社(以下GMOコイン)は、J2リーグに所属するFC琉球を運営する琉球フットボールクラブ株式会社と、ブロックチェーン技術を活用したFC琉球の新ファンクラブサービス「仮名:FC琉球コイン(FCR)」開発プロジェクトを相互協力の元に推進することで合意したと発表した。

FC琉球は、沖縄県沖縄市をホームタウンとするプロサッカークラブだ。2003年に設立され、2018シーズンのJ3優勝を経て、2019シーズンよりJ2での初年度を迎えている。「沖縄を愛し、沖縄に愛される」というクラブ理念のもと、沖縄県民に愛され誇りとなるクラブ作りを目指しているという。サッカーを沖縄の文化にすること、そして沖縄に熱狂を作るというミッションを掲げている。

「FC琉球コイン(FCR)」プロジェクトについて

FC琉球がブロックチェーン技術を活用した新しいファンクラブサービスで、2019年度内にサービスリリースを目指すという。
年間協賛金やJ2昇格ボーナスをビットコインで贈呈するなど新しい形での支援をしてきたGMOコイン株式会社は、FC琉球と共にブロックチェーン技術の特徴を活用した地方スポーツクラブの新たな資金調達手法によるチーム運営確立と、よりプレミアムなファン・サポーター向けサービスの企画開発を進め、将来的には沖縄県全体でのトークンサービス運用を目指す。

今回のプロジェクト企画開発には、国内初のブロックチェーンゲーム「くりぷ豚」を企画開発する株式会社グッドラックスリーも協力するという。

全米バスケットボール協会(NBA)でも進むファンエコノミー

最近だと、米国オハイオ州を本拠地とするNBA(全米バスケットボール協会)所属のプロバスケットボールチーム「クリーブランド・キャバリアーズ(CAVS:通称キャブス)」およびその関連会社は、ブロックチェーンサービス企業である「ユナイテッドコイン(UnitedCoin)」と提携すると発表している。

またブロックチェーンゲーム制作会社「Dapper Labs」は、全米プロバスケットボール協会(NBA)、全米バスケットプレーヤー協会(NBPA)などと協力して、ブロックチェーンゲーム「NBA Top Shot」を開発すると発表。

NBA選手が実際にリーグでプレーした内容も反映される仕組みにし、印象的な得点シーンをブロックチェーン技術を用いてトークン化することによって価値を持たせるなど様々な試みが行われている。

スポーツ業界でブロックチェーンを活用するメリット

スポーツ業界でブロックチェーンを活用するメリットは大きく5つ挙げることができる。

  • ファンも参加できるチーム運営
  • 選手とファンのコミュニケーション
  • 複製や偽造を防ぐ安全なチケット管理
  • 汚職や賄賂の防止
  • 新しい資金調達手段

ファンも参加できるチーム運営

発行するトークンを投票のためのツールとして利用することよって、チーム運営にファンが参加することができる。例えばプラットフォーム上では、ユニフォームのデザインや会場で流れるチームの音楽を決定するためのアンケートを行うといった活用事例が考えられる。

これによってチームはファンの声をチーム運営に活かすことができ、ファンにとっては自分たちのチームという当事者意識を持つことで理想的なチーム運営が可能となる。

選手とファンのコミュニケーション

プラットフォーム上で、選手と直接交流ができるプロジェクトなどに独自のトークンを活用することにより、これまでにはなかった選手とファンがダイレクトにつながることができる貴重な空間を作成することも可能だ。

例えば、サイン入りユニフォームなど独自通貨でしか購入することができない限定商品を販売することにより、ブロックチェーンによりそのグッズの真正性を担保できる。

選手にとってはファンの顔が見えるようになり、またファンはより一層チームやお気に入り選手への愛着を持つようになる。

複製や偽造を防ぐ安全なチケット管理

試合のチケットをブロックチェーン上で管理することにより、紙に印刷したチケットを発券する必要がなくなる。また複製や偽造などの違法行為も阻止することが可能だ。またチケットに購入者の情報を結びつけることによって、「大量にチケットを購入してオークションで高値で売りさばく」といった行為を防止することが可能だ。オークションなどでチケットが異常なほど高額になるといったことも防ぐことができるだろう。

またスマートフォンでチケットを管理をすることで、紛失によるトラブルや会場の人員削減、要注意人物の排除などコストやセキュリティ面での効果も期待できる。

汚職や賄賂の防止

チーム内で行われるすべての取引をブロックチェーン上で管理、もしくは独自の暗号通貨で行うことにより賄賂などの汚職行為を排除することもできる。

コンプライアンスを徹底することが強く求められている昨今において、チーム内での取引に透明性をもたらすことは非常に重要だ。

新しい資金調達手段

独自の暗号通貨をプラットフォーム上で発行し、上述のように独自トークンでチームに関連するサービスを提供することにより、これまでにはない新しい方法でチームの運営資金を調達することができる。また事前のマーケティングも同時にすること可能となり、無駄なコストを削減できる。

自治体など地域と密着した活用方法

また自治体と協力して独自通貨を発行することも考えられる。サッカー、野球、バスケットボールなど競技に関係なく各チームはホームグラウンドを持っていることが多い。そのためスポーツを中心とした地域コミュニティーを形成することで地域の活性化を図ることができる。コミュニティーへの愛着心(エンゲージメント)の高さは地域通貨の利用や継続性に大きく影響するだろう。スポーツ特有の盛り上がりに加え、チームや競技に対する愛着心は、地域通貨の利用定着と親和性が高い。

印象的な得点時などの映像をデジタルコンテンツとして提供し、自治体はそれを地域通貨をに埋め込んで発行することで、金銭的な価値だけでなく、コレクションしたいという感情にも働きかけられる。それより利用者の愛着心が高い地域通貨が生み出せる可能性もある。プライベートブロックチェーンを活用することにより発行時期や数量をスポーツチームや自治体が主導できるようにする。

こうすることで、地域住民やファンとして単に地域通貨を購入するだけでなく、コレクション感覚で集めるコレクター層にリーチすることができ、利用者が増加していく。このような施策を通じて、地域にファンエコノミーを作ることができるだろう。