2019年8月22日、東証一部上場企業であるマネックスグループ傘下の大手暗号通貨取引所コインチェックは、ユーティリティ・トークンによる資金調達支援事業の検討を開始した発表した。

今回は、資金決済に関する法律の適用対象となるユーティリティ・トークンを用いた資金調達(決済型ICO)のみを対象とする予定とし、金融商品取引法の適用対象となるセキュリティ・トークンを活用した資金調達(収益分配型ICO/STO)は対象にしないという。

同社は2019年6月末時点で累計188万ユーザーが利用する暗号通貨取引所であり、同社のアプリダウンロード数は250万を突破している。

トークンによる資金調達を暗号通貨取引所が支援する事業は「IEO(Initial Exchange Offering)」とも呼ばれており、企業やプロジェクト等の発行体がユーティリティ・トークンを電子的に発行することで資金調達を行う仕組みである決済型ICO(Initial Coin Offering)の中でも、暗号通貨取引所が主体となって発行体のトークンの販売を行うモデルだ。

従来のICOの持つメリットを残しつつ、暗号通貨取引所が発行体の審査等を行うことにより、より信頼性を担保した手法だ。

ICOの持つメリット

  • 「資金調達コストの削減」
  • 「ファンコミュニティや独自の経済圏の創造」
  • 「エクイティの分配を必要としない資金調達」

海外ではすでに、大手の暗号通貨取引所がIEO事業を開始し、多種多様な発行体が世界中の投資家から資金調達を行っており、新たな資金調達手段として注目を集めている。

金融庁認定自主規制団体の規則及びガイドラインに基づき、対象事業の審査を行った上で、企業やプロジェクト等の発行体から委託を受け、暗号通貨の販売などの業務を支援していく予定だという。

今回の事業では以下のような企業やプロジェクを対象とするようだ。

対象となる企業やプロジェクト等

  • これまでトークンを活用した資金調達を行っていない企業やプロジェクト
  • 既にコンテンツを保有していて、ファンコミュニティと一緒に事業を成長させたい
  • トークンを有効に活用し、自社のコミュニティを拡大させたい
  • 事業単位での資金調達を希望 

金融庁から許可を受けた暗号通貨取引所が、既存金融における「証券会社」と「取引所」、両方の役割を担うことで、詐欺プロジェクトや企業なども多く発生していたICOよりも信頼性を高め、IEOを健全な資金調達手段の一つとするのが狙いだ。

投資家からすると、今までのICOは直接プロジェクトに申し込みをするため、個人情報の取り扱いや発行体の財務情報など不透明な部分も多くあり、心理的ハードルは高い。

IEOの場合、そうした不透明な部分は解決されるため、投資家は比較的安心して投資ができるようになる。

一方で、審査基準は業界自主規制団体であるJVCEA(日本仮想通貨交換業協会)のガイドラインや規則に基づくとしているが、一般的なIPOとは違い利益や資本金など定量面での細かな審査基準は現在のところ決まっていない。そのため事業やプロジェクト毎に可否を判断する形となる可能性が高く、各事業やプロジェクトへの深い理解は不可欠だろう。

また暗号通貨取引所は、IEO後もプロジェクトの資金使途や進捗状況などに関して厳格な管理が求められるなど負荷もあり、課題は多い。