2019年11月7日、ブロックチェーン・テクノロジー関連事業を展開する株式会社LayerXは、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループと共同で、ブロックチェーン技術を活用した次世代金融取引サービスに関する実証実験を実施、その結果を踏まえ、さらなるサービス提供に向けた協業を実施すると発表した。

証券決済・資金決済の一元的な自動執行を可能にしつつ、投資家の権利保全も併せて実現する基盤の提供に向けた実験を行った。その結果をもとに、引き続きMUFGと連携し、サービス提供を目指す。

また、LayerXはMUFGの主導する「ST研究コンソーシアム」(以下、SRC)にテクニカルパートナーとして参画。SRCにはLayerXを含む、金融機関や事業会社など、計21社が参画を表明している。

2020年4月施行の改正資金決済法を見据える

同社は2018年8月の設立からわずか1年強だが、その間に複数の大手金融機関、大手事業会社に対し、ブロックチェーン技術領域に関するコンサルティング及び共同事業開発プロジェクトを推進。
その中でも資金・証券決済を含めた金融領域に関して、安全に価値の移転・交換を実現できるブロックチェーン術の特性を活かせる領域として、注力領域として研究開発を進めてきた。

また、2020年4月施行の改正資金決済法にて、新たにデジタル証券(「電子記録移転権利」)という概念が導入され、金商法の適用対象となるトークンの範囲を明確化した。つまり第一種有価証券(株式や債券)などと同様の規制を課すこととなり、既存の金融機関にとっては本業との相関性も高く追い風となる可能性が高い。

サービス「Progmat(プログマ)」について

三菱UFJ信託銀行が主導して、提供を目指すサービスは、Security TokenSmart Contractとを組み合わせ、将来的に社会実装が見込まれる外部のProgrammable Money(プログラム可能なブロックチェーン上のお金)との連携により金融取引をプログラムベースで稼動可能にすることで、1つのプラットフォーム上で社債や証券化商品等の金融商品を取り扱う。

それにより「24時間365日」「いつでも柔軟に」、「どこからでも」「専用端末が不要」で、小口の個人投資家や海外投資家を含めた「誰とでも」、資金調達や運用を可能だという。
また現行のトークン化による資金調達における課題の1つである、カウンターパーティリスクを極小化できるよう、ブロックチェーン基盤に信託を組み合わせ、投資家の権利を保全できる仕組みも構築する。

具体的には、現行の社債、または裏付資産に係る信託受益権の権利保有者についての原簿情報をブロックチェーン上に保持し、権利の移転が生じる都度、原簿情報が自動で更新され、法的にも権利を主張可能な状態になる。発行時には各証券に関する情報は全てプログラム化され、期中利払や償還に伴う資金の移動も自動で実行される。証券の権利移転と資金決済を同時かつ自動で行うため、異なるブロックチェーン上のトークン同士を、第三者を介すことなく交換可能にするという。

三菱UFJ信託銀行は今回のサービスを「Progmat(プログマ)」と称し、金融の仕組みの抜本的な変革を可能にする、「Simple」「Speedy」「Secure」なプラットフォームの提供を目指す。

三菱UFJ信託銀行が提供する「Progmat」のグランドデザイン(同社PRより)

実証実験の概要

発表によるとサービスの開発にあたり、社債をユースケースとする以下の技術検証を、2019年7月~10月にわたって実施したという。

  1. 複数ブロックチェーン基盤の比較検証
  2. 発行、売買(権利移転)、利払・償還等の業務フローを踏まえたプロトタイプの開発
  3. Smart Contractに基づく、仮想のProgrammable Moneyを用いた証券・資金の即時決済、および利払・償還の一元自動処理を実施するプロトタイプの開発

ST研究コンソーシアム(SRC)を設立

三菱UFJ信託銀行は同サービスの迅速な社会実装を目指し、「資金調達・投資検討」「アレンジ・媒介検討」「技術協力・決済検討」の各立場で知見を共有しながら検討するため、協力企業全21社による「ST 研究コンソーシアム」(SRC)を設立。
LayerXはMUFGと連携し、サービスの提供に向けた実証実験及び研究開発を推進する共に、ST研究コンソーシアムの運営を含め様々な分野で連携し、より効率的な社会の実現にむけて協働する。