中国を筆頭に世界で進む「スーパーアプリ化」

2019年11月13日、日経新聞を皮切りに複数のメディアが報じたところによると、検索サービス「ヤフー」を展開するZホールディングス(HD)とLINEが経営統合に向けて最終調整に入ったという。LINEの対話アプリの利用者は約8200万人、ヤフーのサービスは約5000万人。つまり経営統合が実現すれば、金融やEC、暗号通貨も手がける1億人規模の巨大なプラットフォームが誕生する。

Zホールディングスの株式45%を握るソフトバンクとLINEの株式を73%を保有する韓国ネイバーを交えて交渉を進めており、月内にも経営統合の基本合意を目指すという。14日現在、両社は「協議・検討しているのは事実」としている。

その背景には、キャッシュレス決済をはじめとして様々なネットサービスが立ち上がる中、消費者のネット利用が一般的になってきたことで、サービスが乱立しており、利便性が低下していることが挙げられる。そのため国内外でネット業界には大きな波が訪れている。

中国では1つのアプリで各種サービス(金融、EC、動画配信、ゲーム、SNSなど)が完結する「スーパーアプリ」が台頭。

その代表例が「Wechatペイ」を展開する「騰訊控股(テンセント)」や最近国内のクレジット対応も可能となった「Alipay(アリペイ)」を提供する「阿里巴巴(アリババ)」などの巨大企業だ。

「スーパーアプリ」によってユーザーの生活全般における様々なストレスを軽減させ、利便性を向上させている。そこから得られるのは「ビックデータ」だ。データ分析にはAIなどを活用し、ユーザーが求めるものを提供していく好循環を生み出している。

また最近だとUberが「Uber Money」を立ち上げ、金融サービスに参入。Googleもシティバンクと新銀行の設立を発表している。

圧倒的なユーザー体験

LINEとヤフーが経営統合することで実現するのは、圧倒的な「ユーザー体験」だろう。中国で台頭してきているような「スーパーアプリ」の利便性を実感している日本人はまだ少ない。

LINEは野村証券と「LINE証券」、みずほFGと「新銀行」の設立に向けて既に動き出している。また暗号通貨取引所「BITMAX」は今年9月に仮想通貨交換業を取得。これにより「資産の管理・運用」がLINEアプリ上で完結することになる。

更にデジタル証券化が進めば、極端な話、1円からでも投資も可能となるだろう。近い将来ビットコイン(BTC)などの暗号通貨で株式・債券・デジタル証券も購入できるようになる。海外への送金もLINEpayをBTCに交換して送ることも可能であろうし、送金手数料もほとんどかからない。

paypayとの連動が進めば、「ゾゾタウン」「ペイペイモール」「ペイペイフリマ」などでのネットショッピングはもちろんのこと、スターバックス・コンビニなどのリアル店舗での決済もLINEアプリひとつあれば済むだろう。そこでは、BTCなどの暗号通貨での決済もできる。

チャットで今一番得な決済方法や割引クーポンを提案してくれるかもしれない。各種ポイントもLINE内で貯まり、使えるようになる。

またショッピングでの取引データ(購買履歴や評価など)やLINEpayやpaypayの活用頻度などをLINEスコアで算定することで、個人における信用を醸成・蓄積し、トラブルになりがちな「個人間での投資・融資」などに安心も提供する。

一方でGAFAでも問題となっている「個人情報の管理」や「データの寡占」といった課題の多くはLINEとヤフーにもついて回ることになるだろう。

ただ今回の経営統合が実現すれば、両社のユーザーにとって日常生活に大きな変化が起きていくのは間違いないだろう。