ビットコインに次ぐ時価総額を誇るイーサリアムは、ブロックチェーンを一般社会に普及させるために、重要な役割を果たしている。本記事では、イーサリアムの仕組みや歴史、抱える課題などについてわかりやすく解説する。


イーサリアムの仕組み

イーサリアムは、ブロックチェーンを使ったアプリケーション開発のためのプラットフォームである。ビットコインと比べて、少し複雑な仕組みとなっているため、詳しく解説していく。

スマートコントラクトとは

スマートコントラクトとは、予め定められたプログラムに基づき、自動的に実行される処理のことである。
この仕組みをブロックチェーンと組み合わせることにより、第三者が管理する必要のあった契約事項を、第三者不在の状態で実行することができる。
事前に定義した実行条件に基づき自動的に処理が実行されるため、プロセスが簡略化されたり、第三者が不要となったりといった、コスト削減にも繋がる。

プルーフオブステーク(PoS)とは

イーサリアムは、プルーフオブワーク(PoW)と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムを使用している。
PoWは、取引を処理するために複雑な計算を行い、その計算を最も早く終えた者だけが、報酬を得ることができる仕組みとなっている。
従って、結果的に無駄になってしまうコンピュータリソースが発生することになり、電力消費による地球環境への悪影響が問題視されているのである。
そのためイーサリアムは、プルーフオブステーク(PoS)への移行を徐々に進めている。

PoSは、取引を処理する「バリデータ」と呼ばれる人をランダムに選出する。
このバリデーターに選ばれる確率は、イーサリアムの保有量に比例して決まる仕組みとなっている。
PoSの場合、選ばれたバリデータのみが取引の処理を行うため、PoWのように無駄な電力消費が発生せず、効率よく取引を処理することができるのである。


イーサリアムの歴史

ヴィタリック・ブテリンとイーサリアム

イーサリアムを発明したのは、当時19歳のヴィタリック・ブテリンという人物である。
ヴィタリックは、17歳のときにビットコインを知り、Bitcoin Weeklyでビットコインに関する記事を執筆するなどして、暗号通貨に対する興味関心を深めていった。
2013年、当時19歳だったヴィタリックは、PayPalの創始者、ピーター・ティール氏による優秀な若者を支援するプログラムに参加している。
その後、ブロックチェーンをアプリケーション開発に応用できないか、という着想を得たことがきっかけで、イーサリアムの構想を生み出したのである。

イーサリアムの大型アップデート

イーサリアムには、予め四つの大型アップデートが予定されている。

フロンティア

フロンティアと呼ばれる最初のアップデートでは、イーサリアムの基本的な機能をテストするために実施された。

ホームステッド

ホームステッドの実施後、多くの人がイーサリアムを使用し始めた。
しかし、ホームステッドの期間に脆弱性が発覚し、The DAO事件が発生したため、緊急アップデートを行い、これによりイーサリアムクラシックが誕生することとなった。

メトロポリス

メトロポリスと呼ばれるアップデートは、ビザンティウムとコンスタンティノープルの二段階で構成されている。

前半のビザンティウムでは、PoSへの移行準備と匿名性の強化が実施された。

後半のコンスタンティノープルでは、開発を進める中で発生した、当初の予定との乖離を埋めるための対応を実施する。

なお、本記事執筆時点(2019年2月上旬)では、コンスタンティノープルは実施されていない。

セレニティ

イーサリアムの大型アップデートの最後は、セレニティと呼ばれる。
セレニティの実施を経て、イーサリアムはようやく完成する予定となっているが、具体的なスケジュールは未だ定かではない。

既存システムとの違い

ブロックチェーンを活用したアプリケーション開発のプラットフォームであるイーサリアムが、既存システムと何が異なるのかについて解説する。

独自トークンを簡単に発行できる

イーサリアムを使うことで、独自トークンを簡単に発行することができる。

2017年に、ICOと呼ばれる資金調達が爆発的に普及したが、そのほとんどがイーサリアムを使ったトークンによるものだった。
イーサリアムのスマートコントラクトを活用することで、低コストで簡単にトークンを発行できるようになったため、それに伴いICOの数が急増したのである。

分散型アプリケーション(DApps)の開発が可能

イーサリアムは、数多くの分散型アプリケーション(DApps)の開発基盤となっている。

イーサリアムを活用することで、管理者不在のアプリケーションを開発することができる。
従来のアプリケーションには、特定の運営者が存在しており、仕様変更やアプリケーション内で使用する通貨の価値が、管理者によって決定されていた。
しかし、DAppsには運営者が存在しないため、ユーザー間の合意によって、様々な意思決定が下されるのである。

イーサリアムの抱える課題

2014年よりスタートし、未だアップデートが続いているイーサリアムだが、いくつかの課題が浮き彫りになっている。

スケーラビリティ問題

イーサリアムのアップデートが進むにつれて、イーサリアムを使ったアプリケーションの数が増え続けてきた。
そのため、現状の仕様では、全てのアプリケーションを処理することができず、通信が滞ってしまう事態が散見されている。

これをスケーラビリティ問題と呼んでいる。

このスケーラビリティ問題に対しては、サイドチェーンという仕組みによって解決する動きが活発になっている。
サイドチェーンとは、メインのブロックチェーン処理を他の複数のブロックチェーンに分散し多段層を形成することによりメインチェーンの負荷を軽減させる技術のことである。

度重なるアップデートの延期

2019年1月17日に完了予定だったコンスタンティノープルは、脆弱性が発見されたことで延期となった。コンスタンティノープルの延期は二度目であり、正常に実行できる日が来るのかと、各所から懸念が寄せられている。