ICO(Initial Coin Offering)とは、企業が独自のトークンを発行し、既存の暗号通貨ビットコインイーサリアムなど)と交換することで資金を調達する、新たな方法である。
2017年より、ICOを実施する企業が急激に増えたことで一般社会からも注目を集め始めた。
そこで本記事では、ICOを実施する際の流れや、なぜ従来の方法ではなくICOが選ばれるのか、さらにICOに対する各国の規制状況などについて、わかりやすく解説していく。

ICOによる資金調達の流れ

まず初めに、ICOによる資金調達の流れから解説する。

一般的に、ICOを実施する際の流れは以下のようになっている。

  1. 資金を調達したい企業が、独自のトークンを新たに発行する。
  2. 世界中から投資家を集めるために、各国でPR活動を行う。
  3. 興味を持った投資家は、イーサリアムやビットコインといった暗号通貨を用いて、その企業が発行する独自のトークンを購入する。
  4. 購入したトークンは、将来的な値上がりや、プロジェクトのローンチ後の特典を得るために長期的に保有する。

なぜICOが選ばれるのか

ICOを実施する企業はもちろん、ICOに参加する投資家たちは、なぜ従来の方法ではなくICOを選択するのだろうか。
ICOを実施する企業側のメリットと、ICOに参加する投資家側のメリットに分けて、詳しく解説していく。

ICOを実施する企業側のメリット

  • ICOを実施する際の準備が容易であるため、時間や費用を大幅に削減できる。
  • 発行した独自のトークンが、世界中の暗号通貨取引所に上場することにより、企業やプロジェクトをPRできる。
  • ICOはインターネット上で全て完結するため、国境の影響を受けず、世界中の投資家に向けて投資を募ることができる。
  • 現状は各国でICOに対する規制が整備されておらず、集めた資金の返済義務が発生しない。

ICOに参加する投資家側のメリット

  • IPOにおける証券会社のような仲介機関が存在しないため、企業に対して直接投資することができる。従って、手数料を取られずに済む。
  • インターネット上で実施されるため、世界中の企業に対して少額から投資できる
  • 投資した企業が成長し、トークンの価値が高まることで、大きな売却益(キャピタルゲイン)を得ることができる可能性がある。

ICOとIPOの違いとは?

これまで企業が資金を調達する際の方法としては、以下の3つが一般的であった。

  1. 銀行から融資を受ける。
  2. 株式を発行することで増資する。
  3. IPO(Initial Public Offering:株式公開・上場)する。

IPOとは、企業が多額の資金を調達する際に、新規に発行した自社株を投資家に対して販売することを意味する。ICOとIPOは、不特定多数の投資家から資金を調達できるという点では類似しているが、主に以下の点で違いがある。

  • IPOは、長期に渡る準備期間と、証券会社に対する多額の手数料が必要となる。一方のICOは、投資家から直接資金を調達できるため、準備期間や手数料を削減できる。
  • IPOは、株式による資金調達であるのに対して、ICOはトークンによる資金調達となる。IPOの際に株式を購入した投資家は、その企業の株主として、経営への影響力を有したり、株主優待を受けたりできる。一方のICOは、未だ規制が整備されていないことから、議決権や優待制度が原則として存在しないため、投資家側はその企業の経営に対する影響を持つことはできない。
  • ICOは新興市場であるため、ベンチャー企業や個人でも比較的容易に資金を調達できる。

世界各国のICOに対する規制状況

2017年4月、日本で改正資金決済法が施行され、暗号通貨取引所のように暗号通貨の売買や交換を取り次ぐ事業を行うには、金融庁によるラインセンス登録が義務化された。
この規制が整備されたことにより、ICOは暗号通貨の売買や交換に該当する行為だとして、日本でICOを実施する際には、ライセンス登録が必要となっている。
ICOに対する規制の整備状況は各国によって異なっているため、いくつか抜粋して紹介していく。

中国

ICOに対して最も厳格な規制を整備しているのが中国である。
中国政府は、2017年9月にICOの全面禁止措置を発表している。
中国によるこの動きは、結果的に世界各国のICO規制を促進することとなった。中国では現在も、ICOに対して厳しい見解を示している。

韓国

韓国金融委員会(FSC)は2017年9月に、詐欺被害の懸念などを理由にICOの全面禁止を発表している。
この方針は2019年1月に更新されたものの、依然として全面禁止の姿勢をとっている。

https://www.coindeskkorea.com/%EC%A0%95%EB%B6%80-ico-%EC%8B%A4%ED%83%9C%EC%A1%B0%EC%82%AC-%EA%B2%B0%EA%B3%BC-%EB%B0%9C%ED%91%9C-%ED%88%AC%EC%9E%90%EC%9E%90-%ED%94%BC%ED%95%B4-%EC%9A%B0%EB%A0%A4-%EA%B8%88%EC%A7%80-%EA%B8%B0/

アメリカ

アメリカは、証券取引法に違反するとしてICOに対して厳しい姿勢をとっている。

2017年7月、アメリカ証券取引委員会(SEC)が、「認可を受けていない企業によるICOは、証券取引法による規制の対象となる」と明言した。

また同年6月に、SECの委員長を務めるJay Clayton氏が、「これまでICOによって販売されてきたトークンのほとんどが、有価証券として規制すべき対象となる可能性が高い」と発言している。

https://www.cnbc.com/video/2018/06/06/sec-chairman-cryptocurrencies-like-bitcoin–not-securities.html

シンガポール

アメリカのSECによるICOに対する規制の発表に続き、シンガポールでも規制が整備されている。
シンガポール政府は2017年11月に、ICOのガイドラインとして、「A GUIDE TO DIGITAL TOKEN OFFERINGS」を発表した。
この発表によると、シンガポールではICOによって販売されるトークンが証券とみなされるような場合に、規制の対象になるという。

シンガポールは、世界各国の中でもICOが活発に行われる国として有名であり、2017年のICOによる資金調達額は、アメリカやロシアに続いて第3位となっている。

ICOにおける今後の課題

ICOは、ハイリスク・ハイリターンな投資と言われており、ICOが成功すれば大きな売却益が手に入る可能性がある一方、詐欺のような事例も多く、十分に注意をはらって投資する必要がある。

ICOの中には、有名人を起用することで話題となっているものもある。
例えば、元プロボクサーであるフロイド・メイウェザーや俳優のジェイミー・フォックス、パリス・ヒルトンなどの海外セレブが、PR活動を行っている事例も存在する。
一見すると、そういったICOは安全であるかのように思えるが、SECは「セレブや著名人によるICOのPR活動は、違法の可能性がある」と注意を促している。

ICOに参加する際には、自身で安全性や将来性を調査し、リスクを認識した上で投資の判断をする必要があるだろう。