ロシアは、政府や大企業がブロックチェーン技術の研究開発に積極的であると知られている。これまで多くのプロジェクトが立ち上げられ、実証実験やパイロットプロジェクトが行われてきた。だが、その多くが試験的取り組みの域を出ておらず、実用化されているわけではない。
しかし、いよいよ2019年にはロシア中央銀行が主導することで大きく前進することになりそうだ。

ロシア中央銀行、2019年に5つのデジタルプロジェクトを推進する

ロシア中央銀行は今年、デジタルエコノミーに関する5つのプロジェクトに集中して取り組む予定である。

ロシア中央銀行の副会長オルガ・スコロボガトワ氏によると

「私たちは2019年に新しいプロジェクトの立ち上げを目指しません。 ゴールオリエンテッドである必要があり、目標を達成すべく2017年から2018年に始めたことをまず完了しなければなりません。」

ロシア中央銀行は現在、デジタルエコノミーにおける5つの主要プロジェクト、「生体認証」、「高速決済システム」、「マスターチェーン:分散台帳技術」、「デジタルプロファイル」および「金融マーケットプレイス」に注力している。

例えば、金融マーケットプレイスに関わる動きとして、2018年秋にリリースされた新法案「デジタルプラットフォームの規制について」が挙げられる。

この法案はロシア連邦議会下院がロシア中央銀行と共同で作成した、ロシアでのマーケットプレイス運用に関わる法案である。
さらに生体認証データの利用、国民の遠隔識別の開始、ICOプロジェクトやクラウドファンディングプラットフォームを通して地方への投資誘致なども計画されている。

2018年12月の終わりには、ロシアフィンテック協会はマスターチェーンプラットフォーム上で「デジタルバンキング担保(Digital Bank Guarantee)」プロジェクトを発表した。
マスターチェーンは、金融市場のユーザー間で直接取引を行うことができるプラットフォームである。このプロジェクトがユニークなのは、銀行担保のレジストリを保管するための信頼できる環境が提供されていることである。
マスターチェーン上での最初の取引はRaiffeisenbankによって行われ、成功裏に完了してる。ちなみにロシアのフィンテック協会内ではVTB銀行がデジタル銀行担保の発行のためのパイロットプロジェクトを行った。

そして2019年1月には、「ロシア連邦のデジタルイノベーション分野における実験的法制度」に関する新しい草案が提出され、その中で革新的なプロジェクトのための「規制サンドボックス」を作成することが提案された。
2018年4月にも「規制サンドボックス制度」がロシア中央銀行によって立ち上げが発表されたが、これは法規制の変更を必要とする新しい金融サービスや技術を試験運用する仕組みである。

ロシア中央銀行の「規制サンドボックス制度」は、ロシア中央銀行宛てに特定の申請書を提出すれば、革新的な金融サービスまたは技術の使用を目的としてあらゆる組織が利用できる。
ちなみにロシア中央銀行では、ブロックチェーン技術を使用したアイデア、資産のトークン化、決済サービスなどに関連する20件以上のイニシアチブが進められている。

ロシアでは直接的にブロックチェーンを用いたプロジェクトだけでなく、それらを取り巻く環境の整備にも注力しており、その中には大学によるブロックチェーン講座やデジタルエコノミーのための弁護士育成プログラムなどが含まれる。


ロシアでは、2017年12月から暗号通貨に詳しい弁護士の育成プログラムが開始したが、現状各国での規制自体が未整備であり、体系的にそれを取り扱う環境はほとんど無いだろう。2月にプログラムの7回目が開始されたので、その詳細や関係者によるフィードバックについて紹介したい。

ロシア国会が支援する将来の暗号通貨専門弁護士育成のための7回目のプログラムが開始

2019年2月18日、ロシア国会支援の下で「暗号通貨とブロックチェーンプロジェクトを扱うための法的枠組みと法的慣行」をテーマとした「Blockchain Lawyers」という教育プログラムが開始した。

参加者はデジタルエコノミー規制に関するコースを受講し、ブロックチェーン、暗号通貨、スマートコントラクト、ICOおよびマイニングに関する法案について専門家とのディスカッションに参加した。 参加者たちは規制問題に加え、デジタルエコノミーの法的枠組みに対しビジネス、政府および教育機関がどのように協力できるかについて話した。

国会議員ドミトリー・サゾノフ氏によると、弁護士がデジタルエコノミーの概念と用語を用いて業務にあたることができ、またこの分野で行われているプロセスについて理解できる、という二つの条件を満たさなければ暗号通貨業界の法律分野は発展しないだろうと述べた。

サゾノフ氏は「Blockchain Lawyers」というコースは実用向けであると強調した。 暗号通貨とブロックチェーン専門家は自身の主要スキルについて紹介し、一方、学生はこの分野で暗号通貨関連ビジネスの開発や課税プロセスの運営などについて学ぶ、というコースである。

次回の「Blockchain Lawyers」では既にロシア、CIS諸国の一部の国、ラトビア、ウクライナの弁護士も入学を予定している。

「Blockchain Lawyers」は、様々な弁護士を対象として、デジタルエコノミーの中で彼らが必要なスキルが身に着けられるよう1年以上にわたり運営してきた。

このプロジェクトは、国会とプレハノフロシア経済大学(Plekhanov Russian University of Economics)の参加によって設立され、現役の議員、法学および暗号通貨経済学の専門家などが講義を行う。

コース全体は75時間で設計されており、暗号通貨、ブロックチェーン、ICOの知識を持たない人も対象となる。プログラムのリリース後、フォーブス誌では 「Blockchain Lawyers」をイリノイ州のプリツカーロースクール、ミシガン大学のローカレッジ、クリーブランドのマーシャルカレッジなど、有名な教育機関と並べて紹介された。

2018年12月、国会管理規制委員会のミカイルロマノフ委員長は、以前のプログラム終了後に、暗号通貨、ブロックチェーン分野の法的規範は極めて柔軟でなければならないと述べた。政府がそれを使ってフィンテック分野のイノベーションと変化に対応できるようにならなければならないことが理由だ。またデジタルエコノミーを規制する方法を検討する際、業界の各分野の代表者や専門家と協力して取り組むべきであり、さらに現在検討中の暗号通貨関連法案はすべてのインターネットユーザーに影響を与える可能性があるため、国民の同意を得て採用する必要があるとも述べた。


https://cryptorussia.ru/news/bank-rossii-nameren-zavershit-pyat-cifrovyh-proektov
https://cryptorussia.ru/news/v-gosdume-nabrali-novyy-potok-yuristov-dlya-obucheniya-rabote-s-kriptoekonomikoy