ビジネス環境の優れたアフリカの島国モーリシャスとは

東アフリカの島国モーリシャスは、ブロックチェーンイノベーション天国という地位を確立しようとしている。
モーリシャスでは金融サービスが十分に確立されており、IT産業も盛んであるため、ブロックチェーンを含めたフィンテック分野において、投資家や起業家を惹きつけている。 

世界銀行の年次調査「Doing Business」によると、モーリシャスは周辺国の中では特にビジネス環境として優れており、世界190カ国中49位にランクされている。この世界銀行のランキングでは、起業のしやすさ、契約履行、信用獲得、投資家保護、納税などの要素が考慮されている。

STO規制が進むモーリシャス

2019年3月にはモーリシャス金融委員会(FSC)はSTO規制ガイドラインを発表している。これにより証券トークンは有価証券と同一視され、2005年に採用された証券法に従い、デジタル形式で規制されるようになる。

ガイドラインによると、STOを通じて資金調達する発行体はFSCの事前承認を受ける必要があるという。
注目すべきなのは「経験豊富な投資家およびファンドまたは専門的投資スキーム」であれば事前承認が不要であるという点だ。ファンドあるいは投資家の経験に対する評価基準が特定されていないのだ。

また第三者によるセキュリティトークンに関する取引の取り扱いについては「証券取引法に従って免許を取得し、関連規則に厳密に従わなければならない」とし、規則に従わない場合は刑事犯罪となるとしている。

ガイドラインでは、STOプロジェクトに対して、セキュリティトークンに関する「権利および義務」の法的チェックを義務づけている。
さらに投資家に対し事前に潜在的なリスクについて警告し、情報開示しなければならない。
FSCはSTOが高リスク投資であり、モーリシャスの確立された法律や補償協定によって保護されていないと警告している。

今回のSTOガイドラインは、フィンテック企業向けに作成された2番目の文書となる。FSCは昨年9月に証券トークンを「経験豊富な専業投資家のための資産」と呼び、デジタル資産に関する最初のガイドラインを発行した。さらにカストディアン向けのガイドラインもそれ以前に発行されている。

FSCガイドライン:https://www.fscmauritius.org/media/70751/communiqu%C3%A9-regulatory-framework-for-the-custodian-services-digital-asset-licence.pdf

活発化するモーリシャスのテックコミュニティ

2018年後半から、テックコミュニティの動きもみられるようになった。
例えば、昨年8月にはブロックチェーンカンファレンスが開催され、海外から多くのスピーカーやプロジェクトがモーリシャスを訪れた。
またモーリシャスの技術通信イノベーション省がモーリシャス大学でブロックチェーン技術に関するワークショップを開催するなど、ブロックチェーンとは何かについて議論する場が増えている。

モーリシャスの技術通信省の常任書記長、ヤネンバル・モーゲン博士はモーリシャスのブロックチェーン導入について以下のようにコメントしている

「2018年10月にモーリシャスの技術通信省はコトルリ・ビジネススクール(Cotrugli Business School)のコンサルタントに政府のブロックチェーン戦略の策定を依頼した。コンサルタントは公共分野でのICT活動の動向について熟知しており、ブロックチェーンの堅牢性を考慮し、活用するためのアプローチを考案するため、各省庁、ICT業界団体、その他のパートナーと多くの会議を重ねた。その結果、モーリシャスはブロックチェーンを導入する環境が整っていること、また様々なサービスにおいてブロックチェーンの利用ができることが分かった。」

さらに検討が進んでいる具体的なプロジェクトについて、こう述べた。

「モーリシャスのブロックチェーン戦略の中で優先度が高いプロジェクトは3つある。①不動産におけるPINの発行、②デジタル出生証明書の発行、③モーリシャスの国内データ交換プラットフォームである『Info Highway』でのトランザクションログの保護だ。」

「また『MoChain』と称する国家ブロックチェーン開発についても提案されている。PoWではなくPoA(Proof of Authority、権威の証明)に基づいて動作するチェーンであり、段階的に公共分野および民間に開放される見込みだ。」

モーリシャスはアフリカにイノベーションを起こせるか

新しいガイドラインは2019年3月1日に施行されたことにより、モーリシャスIFCはデジタル資産の管理のための規制された環境を提供する世界初の機関として位置づけられた。
ただしデジタル資産のカストディアンサービスライセンスの保有者は、国際的に最善な方法に沿ったAML / CFTの枠組みを遵守する必要がある。

モーリシャス共和国のプラビンド・ジュグノート首相は、モーリシャスの前衛的な規制枠組みについて

「デジタル資産を保護するための規制を通じて、世界的なフィンテックエコシステムに革命をもたらしつつ、政府はデジタル化によって経済成長する時代への移行を進めている。アフリカの国家として、私たちはさらなる革新を促進し、アフリカにより多くの繁栄をもたらせるよう期待している。」