インドネシアの繊維大手「アジア・パシフィック・レーヨン(APR)」はシンガポールのブロックチェーン開発企業「パーリン(Perlin)」と共同で繊維の来歴を追跡するためのブロックチェーンソリューションを世界で初めて導入する。
5月15日、コペンハーゲンファッションサミットに先立ちプレスリリースで発表した。

APRは農園からの原料を用いてビスコースレーヨン繊維を製造するアジア初のワンストップ型ビスコースレーヨン生産者として知られる。

今回の発表はバリューチェーンの追跡可能性を追求する「Follow Our Fibreイニシアチブ」の一環だ。
パーリンが開発するブロックチェーンソリューション「Perlin Clarify」に基づいたモバイルアプリを通じて、ビスコースレーヨンのバリューチェーン全体にわたって透明性が担保され、APRの顧客は植栽から出荷までの主な生産工程を監視することができる。
APRが関わる規制および業界基準や認証に準拠した安全なブロックチェーンデータベースにより透明かつ永続的にデータが提供されるようになる。

パーリン広報ダーレン・トウ氏から同社のアジア展開について以下のように述べた。

「我々は、APR以外にも既にアジアを拠点とする大手企業と提携している。インドネシア最大の電話会社Telkom、日本のベンチャーキャピタルであるグローバルブレインや、韓国のカカオなどだ。彼らのネットワークを通じて、『Perlin Clarify』、『Perlin Certif』、『Perlin Cloudify』を含むパーリン製品のさらなる展開に注力する計画だ。」

「現在、他の企業との提携を進めており今後アナウンスできると思う。その多くはアジア地域で膨大な輸出入量誇る企業で、食品業界、金属、鉱物、高級品など、広い分野にわたる。」

「アジアにおいては、特に世界貿易の大部分を占める日本と中国に焦点を当てている。パーリンのビジョンは多くのステークホルダーや投資家とのパートナーシップを維持しながら、将来的に企業ソリューションでの取引を推進することだ。我々はブロックチェーン技術の社会実装を重視しており、それを共に実現できるような企業とのパートナーシップを強化していく計画だ。」

また4月中旬、パーリンはアジアに限らず国際商工会議所(International Chamber of Commerce、ICC)との大きな提携も発表している。提携の内容はICCの130カ国以上4500万社の会員企業に向けたブロックチェーン導入を支援するというもの。

国際商工会議所(ICC)は、グローバルビジネスの合理化をミッションとして第一次世界大戦の時代に創設され、戦争で荒廃した国々を越えた商品の自由な流通を確保するために事業家たちによってその規模を拡大してきた。

ICCは提携を通じて世界各国の商工会議所や、アマゾン、コカコーラ、フェデックス、マクドナルド、ペイパルなどの会員を含む大規模なメンバープールにパーリンを繋げていくという。

公式技術パートナーとして参加し、初期段階のプロジェクト向けにはパーリンのブロックチェーンプラットフォームへのアクセスを無償で提供する。
当面は実用的かつ効率的で、スケーラブルなブロックチェーンのトレーサビリティとバリューチェーンの透明化システムに焦点を当てる計画。

ICCのジョン・デントン事務局長は、パーリンとの提携について次のように述べる。

「ICCはブロックチェーンおよびDLT開発をリードするパーリンとの提携を通じ、あらゆる産業分野にわたり、事業のための実用的かつ真に破壊的な変革を支援することができる。」

ICCとパーリンは、大企業と予算が少ない中小企業の両方にとって前向きで破壊的な変化を起こすためにはブロックチェーン技術の導入はこれまでになく有効な手立てだ、と口を揃える。

パーリンCEOドルジェ・サン氏は、パーリンプロジェクトのポリシーについてこう述べる。

「我々が常に念頭に置いていることは、実用的で拡張性があり、費用対効果が高く、あらゆる規模のビジネスに大きな価値を付加するツールを構築することである。それによりブロックチェーンおよびDLTの有意義な導入は実現されるだろう。」

パーリンのブロックチェーンは、イーサリアムと同じようにユーザーがあらゆる種類の価値を追跡、移転することができ、中央集権型プロセッサに依存しない分散アプリケーション(dapp)を開発できるよう設計されている。
また「perl」と呼ばれる独自の暗号通貨もある。
これは規制の状況にもよるが、今後3ヶ月ほどかけて配布される予定だ。

ブロックチェーンによるサプライチェーンの管理は破壊的イノベーションとして見なされつつあるが、パーリンのようなトークンに依存するモデルはこれまで、規制当局に制限され、なかなか牽引力を得ることができなかった。
それとは対照的に、IBMやR3、Hyperledgerが行っている企業あるいはコンソーシアム向けのパーミッション型ブロックチェーンを使用するモデルは広く関心を集めている。

ICCとパーリンはブロックチェーン技術における提携だけでなく、シンガポールをブロックチェーンハブとして位置付けるためにイニシアチブを推進するなどして協力している。
その中で注目すべきイニシアチブとしては、商品取引、バリューチェーンにおけるデジタルイノベーション、およびICCの「偽造および剽窃(ひょうせつ)行為を阻止するためのビジネスアクション」(BASCAP)などがある。