2019年6月5日、第28回未来投資会議が首相官邸で開催された。

未来投資会議は、政府が2013年に設置した「産業競争力会議」などを引き継いで2016年9月から始まった国や地方の成長戦略を議論する会議だ。
安倍首相を議長として、年に10回ほど開催され、毎年6月に成長戦略を取りまとめる。

今会議資料で、政府は現在の背景を以下のように捉えている。

AI、IoT、ロボット、ビッグデータ、分散台帳技術ブロックチェーン)など、第4次産業革命のデジタル技術とデータの活用は、全ての産業に幅広い影響を及ぼす、汎用技術(General Purpose Technology:GPT)としての性格を有する。第4次産業革命は、同質的なコスト競争から付加価値の獲得競争への構造変化をもたらす。デジタリゼーションを企業経営者が本格活用し、いかに差別化を図り、付加価値の高い新たな製品、サービスを生み出すかという競争であり、付加価値の創出・獲得が課題である。第4次産業革命は、労働市場にも大きな影響を及ぼす。現在、世界的に中スキルの仕事が減少し、高スキルと低スキルの仕事が増加する「労働市場の両極化(Polarization)」が進行している。高スキルの雇用を増加させるためには、機械やAIでは代替できない創造性、感性、デザイン性、企画力といった能力やスキルを具備する人材を育てていく必要がある。
このように、第4次産業革命に合わせて「組織」と「人」の変革を進められるかどうかが、付加価値の創出による労働生産性上昇を実現できるかどうかを左右する。

また、上記のような背景から政府は危機感を持ち、この1、2年が勝負だとし、オープンイノベーションや規制改革の推進など早急に進める方針だ。

第4次産業革命の変化のスピードは早く、かつ、急激であり、世界は大きく変化している。政府が早期に、かつ、具体的に対応策を打ち出し、民間がこれに応えて具体的なアクションを起こせるかどうかが、日本が第4次産業革命をリードできるかどうかを決する。この1、2年が勝負である。
このため、必要な法制面を含む環境整備を全政府的に早急に進め、2020年の通常国会において国の基本的なインフラ整備・ルール整備を完了するよう取り組むこととする。引き続き、アベノミクスにおける大胆な金融政策や機動的な財政運営を推進しつつ、その間に、政府においては、人材の流動化などのオープン・イノベーションの試みを率先して実施すると同時に、規制改革の推進により新規参入を促進し、経済政策の持続可能性を確保していく。

成長戦略実行計画によると大きなテーマは以下の3つである。

  1. Society5.0の実現
  2. 全世代型社会保障への改革
  3. 人口減少下での地方施策の強化

特に、Society5.0 が目指す、サイバー空間とフィジカル空間の高度な連携による更なる経済発展、社会課題の解決の実現に向けて、これまで以上にデータを活用した取組を推進する必要があるため、早期に国際・国内でのデータ流通における基本的な考え方を確立し、安心・安全なデータ流通・利活用を促進するという。

ブロックチェーン技術の活用に関しても積極的な姿勢を示している。

  1. ブロックチェーンを活用したコンテンツの円滑な流通
    本年度実証を行い、新たなビジネスの創出や著作物に関する権利処理などのあり方を検討し、来年度中に取りまとめ、令和3年度までに仕組みを整備
  2. 金融分野におけるブロックチェーン技術の実用化に向けた取組を加速
    貿易金融における手続きに関し、実証実験の結果を踏まえ、ブロックチェーン技術を活用した電子化に係る課題を整理、解決策を検討
  3. 規制サンドボックス制度の活用
    AI・IoT・ビッグデータ・ブロックチェーンをはじめとする革新的な技術やビジネスモデルの実用化を早期に行い、新技術等実証制度を導入。これまでにFinTechのみならず、IoT・ブロックチェーン等を医療、環境等の分野に活用するものなど、6件の実証計画が主務大臣の認定を受ける。
    今後もさらに本制度の支援に取り組む。

第28回未来投資会議配布資料:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai28/index.html