ブロックチェーンを活用した食品トレーサビリティーの実用化が国内外で進んでいる。

2019年6月3日、仏小売大手スーパーマーケットチェーン「カルフール」は、IBMのブロックチェーン技術を用いたトレーサビリティシステムの導入により売り上げが増加したと明らかにした。

ブロックチェーンを活用したトレーサビリティシステムでは、消費者は、肉や牛乳、果物など20製品において農場から店舗までのサプライチェーンの追跡が可能であり、遺伝子組み換えや殺虫剤を使用する製品などを避けて購入することができるなどのメリットがある。
同社は今年中に食品以外を含む100種類以上の製品を追加する計画を立てている。

カルフールのブロックチェーンプロジェクトマネージャーである、エマニエル・デラーム(Emmanuel Delerm)氏は以下のように述べている。

「ブロックチェーンシステムの導入により、柑橘類が昨年よりも早くに売れており、チキンの販売に関しても、ブロックチェーンを導入しているものと、そうでないものでは売り上げ差が生じており、後者の方が良好である。」

デラーム氏によると、トレーサビリティシステムを通じて、顧客は携帯電話のQRコードスキャンを利用し、収穫日、植栽場所、土地所有者、梱包時間、出荷時間などの情報を得ることができるという。
特にこのシステムは中国で飛躍的に進んでいるといい、QRコードスキャンはすでに普及し始めている。

実際2019年1月、中国重慶市にある中国食品医薬品局はブロックチェーンを使って食品や医薬品の品質を検証する取り組みを行うと現地メディアが報じている。
「食の安全」について大きな不安のある中国で食のトレーザビリティが進むのは当然なのかもしれない。

カルフールは昨年、IBMのブロックチェーンベースの食品追跡ネットワーク「Food Trust(フードトラスト)」に参加し、同トレーサビリティシステムの活用を開始した。このネットワークにはネスレ(Nestle)、ドール(Dole)、マコーミック(Mccormik)、タイソンフード(Tyson Food)、ユニリーバ(Unilever)なども参加している。
同社は今年4月、ネスレ、IBMと提携し、ブロックチェーン技術を利用してマッシュポテト商品の追跡を開始するとも発表している。

また日本国内においても、2019年3月、食品流通の合理化・高度化を目的とする、農林水産省補助事業「平成30年度食品流通合理化・新流通確立事業」を活用し、ベジテック、カレンシーポート、三菱総合研究所の3社合同で開発したブロックチェーンプラットフォームを用い、Amazonおよび日本アクセス両社の食品サプライチェーンにて、実際の商取引に関する物流情報の書き込みや参照等を行う実証実験が行われた。

実証実験では、食品サプライチェーン2ルートにて事故品が流通したと仮定し、事故品の特定と出荷停止、事故品の回収についてブロックチェーンプラットフォーム活用のあるなしの比較検証を実施した。

その結果、ブロックチェーンを活用した場合、商品の回収作業に要する時間を、サプライチェーン全体で3分の1(事業者によっては最大7分の1)まで短縮、回収対象品の量は最大で約180分の1に削減可能になることが確認できたという。

日米のような先進国だけではなく、アジア・アフリカ地域など新興国における人々の生活水準が上がるに連れ、医療・食というような健康分野により意識が向くようになる。今後食品トレーサビリティの流れはより加速していくだろう。