2019年6月18日、フェイスブックが独自暗号通貨「リブラ(libra)」のホワイトペーパーを発表。それに対し規制当局を含めた各界から様々な反応が出てきている。

米国の代表的な非営利の研究機関である「 The Competitive Enterprise Institute」は以下のように述べた。

「米国政府がリブラのような暗号通貨の潜在的な欠点を過度に懸念し、消極的なシステムへの移行を促すのであれば、我々はダイナミックに成長する市場を永遠に見ることはないだろう。リブラプロジェクトにはプライバシーと個人情報に関する課題や懸念は確かにある。しかし消費者との信頼構築は、Facebookに責任があり、消費者がサービスに加入するかどうかを自身で選択する必要がある」

また、CNBCのTV番組「マッドマネー(mad money)」の司会者であるジム・クレイマー(Jim Cramer)はリブラについて、以下のように述べた。

「リブラは通貨不安などの際には自国通貨の代替として出てくる可能性がある。世界の88%の通貨は、自らの貨幣価値を維持するためにリブラを選ぶだろう。また通常の銀行サービスを享受できない人は、高額の手数料が課される『小切手の現金化(Check cashing)』に依存している。そのため、リブラは銀行を利用できない世界中の人々に歓迎されるツールになるだろう。これはフェイスブックの地位を高めることができ、米国の景気後退の中でも高い評価を受けるだろう」

ほとんどの研究機関や業界関係者は、概ね肯定的な反応を見せている一方で、政府機関では一貫して規制の声を高めている。

米国下院金融委員会のマキシン・ウオーターズ委員長(民主党)は、フェイスブックが数十億人の人々のデータを保有しながら、そのデータを慎重に使用したり保護したりする配慮を何度も怠ってきたと指摘し、議会や規制当局が内容を精査し対応するまで暗号通貨の開発を停止することに合意するよう求めた。

民主党のトップ、米上院銀行委員会のシェロッド・ブラウン氏もフェイスブックは既に規模と影響力が余りにも大きく、その影響力を使って利用者のプライバシーを保護することなくデータを悪用してきたと指摘。フェイスブックがスイスの銀行口座で監視されることもなく高リスクの暗号通貨を運営することを認めるわけにはいかないと訴えた。

またマーク・ウォーナー民主党議員は、同社が新たな産業に進出し、支配するために、企業の力を使用する懸念があるとした。

CNBCの報道によると、欧州データ保護監督官(EDPS)の総括であるジョバンニ・ブタレーリ氏(Giovanni Buttarelli)はインタビューで以下のように述べている。

「個人情報が一企業に集中している問題が、今よりも深刻になるだろう個人の権利と自由は、より大きな脅威にさらされるしかない。脅威なのは(Facebookは)今、独自のSNSプラットフォームを介して、世界中の利用者の個人情報を容易に閲覧することができるということだ。今後、デジタルマネーベースのオンライン購入履歴まで追跡し、閲覧できるようになるという事実だ」

一方、ブルームバーグによると、マーク・カーニー(Mark Carney)英国中央銀行(BOE)総裁は、ポルトガルで開かれた欧州中央銀行(ECB)の会合で、フェイスブックの暗号通貨プロジェクトは、G-7(Group of Seven)レベルの厳しい規制に直面すると警告している。これと関連して以下のように述べている。

「リブラはフェイスブックの『グローバル決済革命』(revolution in global payments)の一環である。各国の中央銀行は、通貨及び金融の安定を維持するためにリブラのような新しい技術を把握する必要があり、資金洗浄防止テロ資金防止、データ、およびプライバシーの保護などの措置を完備しなければならない。私たちは、G-7、BIS、FSB、IMFレベルで綿密かつ総合的に暗号通貨の問題を見なければならない。開放的な態度(open mind)を維持しているが、これは完全な許可(open door)を意味するものではない」

フェイスブックの独自暗号通貨「リブラ(libra)」については、上述のようにさまざまな視点や見解が出てきている。

2019年2月、Facebookの子会社であり、デジタルウォレット開発を手がける「カリブラ(Calibra)」は米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)によって「金融サービス業」(MSB)会社として既に登録されている。登録番号は「31000141265767」となっている。

ただし、米国内で合法的なサービスを提供するためにはカリブラは、各州によって異なる資格要件のライセンスを取得する必要がある。

フェイスブックが18日公開したホワイトペーパーによると、ソーシャルネットワークと金融データを完全に分離し、リブラネットワークベースのサービスの構築と運営のために同社を設立したとしている。今後、Facebookのリブラプロジェクトがどのような道を辿るのか成り行きが注目される。