2019年6月21日、金融庁は暗号通貨交換業者に関連する事務ガイドラインを一部改正案を公表し、その中でこれまでの検査・モニタリングで把握した実態や問題点等を反映し、監督上の着眼点として明確化した。
また今回の一部改正案ではICOへの対応として暗号通貨交換業に該当するICOについての監督上の着眼点も新たに追加した。

これまでの検査・モニタリングで把握した実態や問題点を整理し、着眼点として明確化したものは、今まで中間とりまとめなどで公表されていた内容であり、いくつかの変更点はあるものの、恐らく登録業者や登録を目指す業者にとって目新しい内容ではないだろう。

変更点(一部抜粋)

  1. 暗号通貨の範囲に関する判断材料として「ブロックチェーン等のネットワークを通じて不特定の者の間で移転可能な仕組みを有しているか」という文言を追加。
  2. 「暗号通貨取引の媒介」について新設し、契約の締結の勧誘、契約の締結の勧誘を目的とした商品説明、契約の締結に向けた条件交渉等が「媒介」に該当すると明確化

「媒介」に当たるか否かは、個別事例ごとに実態に即して実質的に判断する必要があるとしつつも、例えば、インターネット上の表示等を用いる場合でも、特定の者に対して第三者との契約締結に向けた誘引行為を行っていると評価できる場合には、当該インターネット上の表示等を含めた一連の行為が媒介に当たる可能性があると指摘。

一方で、以下の記載例のように暗号通貨の売買又は他の暗号通貨との交換に関して事務処理の一部のみを行うに過ぎない場合は、「媒介」に至らない可能性もある。

  • 商品案内チラシ・パンフレット・契約申込書等の単なる配布・交付(電磁的方法によるものを含む)※書類の記載方法等の説明まで行う場合には媒介に当たる可能性がある。
  • 契約申込書及びその添付書類等の受領・回収。※契約申込書の誤記・記載漏れ・必要書類の添付漏れの指摘だけでなく、契約申込書の記載内容の確認等まで行う場合には、媒介に当たる可能性がある。
  • セミナー等における一般的な仮想通貨の仕組み・活用法等についての説明。

注目すべきは、ICOに対す対応と監督上の着眼点の明確化だ。

今回、金融庁はICOについて2つのパターンを提示している。

発行者(暗号通貨交換業者)が自らICOトークンを販売する場合

  • 対象事業の適格性・実現可能性等の審査・検証
  • トークンの販売時及び継続的・適時の情報提供・開示
  • 調達資金の適切な管理(分別管理・目的外の使用禁止)

暗号通貨交換業者が発行者に代わってICOトークンを販売する場合

  • 発行者の財務状況や対象事業の適格性・実現可能 性等を審査・検証するための態勢の整備
  • 発行者に対するモニタリング(発行者による適切な情報開示・調達資金の適切な管理が行われているか等)の実施
  • (利用者保護上の問題が生じた場合は)トークンの販売中止その他必要な措置の実施 等
金融庁HPより

金融庁:https://www.fsa.go.jp/news/30/virtual_currency/20190621-2.html?fbclid=IwAR2tM3qhakdM7Z7ixRFpUZwwG0Eot3EZYBAEzkiOhjAHpwOj-Sgf9ft5hyI

金融庁は今回の案に関して意見がある場合は、2019年7月22日10時まで受け付けるとしている。

今回の改正において、日本のICO規制が一歩前進をしたのは間違いない。仮想通貨交換業者のICOへの対応が明確化されたことにより、各取引所からも今後様々な取り組みが発表されるだろう。

しかし、同日には「Financial Action Task Force(FATF)」の基準も発表されている。その中には、企業間で資金を転送するときに暗号通貨交換を含む「暗号資産サービスプロバイダ」(VASP)が互いの顧客に関する情報を渡すという要件なども含まれており、日本を含め世界的にICOに関してはAMLや個人情報保護の問題などに関する議論はより一層盛り上がっていくこととなるだろう。