フェイスブックが、独自暗号通貨リブラ(Libra)」のホワイトペーパーを発表してからおおよそ1週間が過ぎた。それぞれの国ごとに対応も異なり、参加表明企業にも懸念も流れている。またフェイスブックの株価は一時、1株あたり194ドルまで上昇したが、現在は発表前と近い189ドル台で推移している。まさに期待と不安を反映した動きとなった。

一方で暗号通貨市場は急激な上昇を記録し、ホワイトペーパーの発表があった6月18日からビットコインは約38%も上昇した。

フェイスブックにとっての大きな課題はやはり「規制」だ。

参加を表明したパートナー企業からも懸念の声が上がっているようだ。

ニューヨーク・タイムズは、リブラ・アソシエーションに参加を表明したパートナーのうち数社は、フェイスブックの個人情報の問題や法的な規制、パートナーの取り扱いなどが未だ不確実なため加入を躊躇していると報道した。多くのパートナーがリブラ運営の方向がより明確になってから、1,000万ドルの出資とリブラ・アソシエーションへの加入するかどうかを最終的に判断するという。

パートナーは1,000万ドルを出資しなければならないが、必ずしもノードとして参加する必要はない。フェイスブックは、ゴールドマン・サックス、JPモルガンチェース、フィデリティなど金融機関にプロジェクト参加を要請したが、一部の金融機関は規制の問題から拒否をした可能性が高い。

実際にリブラのパートナー27社のうち最も後から合流したマスターカードの場合は、プロジェクトを支持する声明で「リブラ」には直接言及せず、マスターカードが持つ多くのパートナーシップの一つと説明した。また別のパートナーは、Facebookの個人情報保護リスクを懸念している。一方、米国上院と米国下院金融サービス委員会は、リブラプロジェクトの中断を要求し、7月16日、17日とリブラ公聴会を開催する予定だ。

ヨーロッパでも規制の声が大きい。

英国の金融行動監視機構(FCA、Financial Conduct Authority)は「リブラプロジェクトが(ホワイトペーパーを介して)公開した情報は、リブラを理解するのに十分な情報が含まれていない」と指摘した。

これに関連して、FCAのトップであるアンドリュー・ベイリー(Andrew Bailey)は、「追加情報が公開されない限り、規制当局の許認可は難しいだろう」と予想した。

一方、イタリアの中央銀行所属で市場と決済システムを監督する最高責任者であるドメニコ・ガマルジ氏(Domenico Gammaldi)もスイスで開かれたクリプトバレーカンファレンスで、「リブラが発表した白書(white paper)の『バック(white)』は何の情報もないことを意味するように思う」とし、追加情報を求めた。

中国官営メディアの英語版であるグローバルタイムズでは「グローバルデジタル通貨の時代、中国は参加しなければならない」というタイトルのコラムで「リブラの発売によってFacebookは、27億人にお金を発行することができる一種の独立した「中央銀行」になったようだ」と報じた。

また以下のように論じている。

「今後、Facebookは、規制の圧力を緩和するために、米国当局と議論を進めるものである。議論が本格化されると、リブラと呼ばれるグローバルデジタル市場内において「ドル」のように影響力を確保することができるだろう。米国はリブラを介して、業界の優位性を先取りする。他国は、リブラの浸透を防ぐことが大変になるだろう。中国も例外ではない。デジタル競争時代、中国が排除されてはならない。中国の産業と規制機関は、デジタルマネー関連、より多くの議論をする必要があり、さらにデジタルマネーを奨励しなければならないかもしれない。そうでなければ、中国は新たな金融の時代に遅れをとるだろう」

一方で、規制強化の動きに期待をする人もいる。

米国の暗号通貨専門家であり、経済専門放送チャンネルCNBCクリプトトレーダーショー(Cryptotrader show)ホストである、ラン・ノイノ氏(Ran NeuNer)はTwitterで以下のように述べた。

「もし当局がフェイスブックのリブラプロジェクトを遅らせたり、妨害するのなら、ビットコインにとっては最大の好材料になるだろう。それはすなわちビットコインの真の優位性を世界に知らせる契機になるだろう。いくつかの側面で私はこのことが発生することを望む。」

2019年6月26日、ビットコインは1BTC=12,914ドル(約138万円)まで上昇した。フェイスブックの独自暗号通貨「リブラ(Libra)」の発表をきっかけに、JPモルガン・チェースの「JPMコイン」など大企業の参入やブロックチェーンの実装など好材料に目が向いた形だ。

参加を表明した企業が「規制」を懸念し、リブラ・アソシエーションに参加をしない、もしくは参加をしたとしてもバリデータノードとして機能しなければこのプロジェクトは進まない。フェイスブックにとって「規制」をクリアにすることは非常に重要な課題だ。

ソース:https://www.nytimes.com/2019/06/25/technology/facebook-libra-cryptocurrency.html