前回は、フェイスブックコイン「リブラ(Libra)」の国内流通性を検証するため「ステーブルコインの可能性」について解説した。
今回はさらに国内における流通の可能性を探るため、「ステーブルコインの法的な位置付け」についてどういったものに該当する可能性があるのか、著名弁護士のレクチャーや見解をもとに整理する。

第1回:「ステーブルコインの可能性」

著名弁護士

  • 斎藤創氏(創・佐藤法律事務所):日本ブロックチェーン協会主催「Libraレクチャーイベント:リブラならびにステーブルコインの日本法分析」
  • 河合健氏(アンダーソン・毛利・友常法律事務所)※ステーブルコインの法的分析のみ
  • A氏(匿名の著名弁護士)

ステーブルコインの法律上の位置付けは?

①暗号通貨に該当する場合

現状、暗号通貨とは仮想通貨法上以下のように定義されている。

  • 電磁的な財産価値
  • 電磁的に移転可能
  • 不特定多数に対して使用可能または不特定多数間で他の暗号通貨と交換可能
  • 本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く

斎藤氏のレクチャーによれば、その中で特に通貨建資産であるかどうかが重要だという。

通貨建資産の定義は、「日本円や外国通貨で表示され、又は日本円・外国通貨で債務の履行、払戻し、その他これらに準ずるものが行われる資産」とされている。

②為替取引(銀行法・資金決済法)に該当する場合(為替取引型ステーブルコイン)

仮に上記記載の通貨建資産となる条件を満たしたステーブルコインについては、為替取引の該当性を検討する必要がある。

為替取引とは、「遠隔地の者の間で直接現金を移転させる方法(現金輸送車など)以外で委託を受けて資金を移動させること(銀行振込など)」とされている。

  • 100万円/回を超える為替取引は銀行業
  • 100万円/回以下の為替取引は資金移動業

③前払式支払い手段に該当する場合

前払式支払手段の要件は以下の通りだ。

  • 金額または数量の記録
  • それに応じた対価の支払い
  • 発行体又は発行体の加盟店で商品購入等に使用可能

④ファンドとして金商法に該当する場合

集団投資スキーム(ファンド)の要件

集団投資スキームの要件

  • 出資者が金銭を出資
  • 事業を営む
  • 収益の配当または出資対象事業にかかる財産の分配を受けることができる権利

米国ではハーウィーテストというものがある。これはある主体が他の主体に投資を行い、もっぱら第三者の行為によって生じる利益を期待する行為だった場合、その取引はセキュリティー(証券)であると見なされるというものだ。日本の有価証券とは異なり、単なる値上がり益等でもセキュリティーに入り範囲が広い。(斎藤氏)

⑤セキュリティトークン(ST)に該当する場合(仮想通貨法・金商法)

配当を得るなどのスキームによってはセキュリティトークン(ST)に該当するという考え方もある。現在はST独自の法律はないがSTも有価証券に該当する場合はある。その場合、仮想通貨法と金商法の両方が適用される可能性がある。しかし来年の春頃に法律が変わり、STは金商法でのみ規制されることになるだろう。

「ステーブルコイン」の国内法における位置付けとしては、その対象となるステーブルコインの仕組みが様々であるため、ひとつに決めるのはやはり難しい。前述したようにそれぞれの仕組みをしっかりと把握した上で検討する必要があるようだ。

実際に「リブラ(Libra)」は①〜⑤のどれに当たる可能性が高いのだろうか。
今回整理した内容を元に、次回は日本における「リブラ(Libra)」の法的位置付け及び国内法に乗っ取った流通の可能性を探りたい。