今回のインタビューは、NEM財団のFlora Fang氏。

日本ではFlora氏と存在は知られているものの、実際にどんな活動をしているのか知らない読者も多いかもしれない。 日本をはじめアジアでもトークンホルダーの多い「NEM」。そこで今回は、NEM台湾オフィスの立ち上げや、アジアにおけるNEM普及のため、各国を精力的飛び回って活動しているFlora氏の知られていない素顔に迫りたい。


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Flora、日本のコミュニティーからもとても注目されている貴方ですが、まず貴方がこの業界に入る前の話を教えてもらえますか?
私は国際的なマーケティングと、企業内の継続的な業務改善の領域に専念してきました。オーディオ業界では世界的に有名な16のブランドの海外進出を手伝ったり、貿易と投資、製造管理など、様々な業界で働いてきました。
台湾に上場している製造会社で、5つの部門を管理して「トヨタ生産方式」に基づいてシステム全体及びプロセスをTS16949規格で再構築し、日常業務で実行していた時などは、今思い返してもとても情熱的で興奮に満ちた日々でした。
凄いキャリアウーマンですね!!
そんなFloraがブロックチェーン業界に入ったきっかけは何ですか?
2016年に私の前職のボスがクリプトファンドを設立したのが、この業界に感心を持ったきっかけです。私はNEMに2017年に参加したのですが、当初は主に、伝統的な産業とのパートナーシップと、ブロックチェーンを機関に導入する際における調査のサポートをしていました。
伝統的な産業とのパートナーシップは、これから今以上に大事になってくるポイントですよね。
クリプト業界に惹きつけられたエピソードお願いします!
非中央集権的な社会という概念そのものが私を惹きつけました。私は非中央集権的なシステムは、人間性、技術、経済の最も良い形での融合だと信じています。
あなたに刺激を与えた人を一人紹介して頂けますか?また、その理由もお願いします
私は非中央集権的という言葉を聞くと、ガンディーの言葉を思い浮かべます。彼は言いました「私は少数の人々の手の中の富ではなく、全ての人の手の中の富に集中したい」と。
確かに!言われてみればガンディーの思想とブロックチェーンは相性は凄く良い。
ガンディーの社会開発と建設の概念は人々に力を与える事であり、それは経済的および政治的自由を直接反映しています。文化と宗教の違いは、協力を通して相互利益のために受け入れられるべきです。これらの事は、ブロックチェーンの持つ最もコアな価値だと信じています。
うんうん。この業界に入ってからガンディーの話をしたのは初めてだけど、Floraの話を聞いていると、確かにコアの部分で共通点がますね。最近では、どんなプロジェクトに感心がありますか?
私はいつもヘルスケアの領域に関心をもっています。これは、ブロックチェーンのユースケースが増えていく事で多くの人々がメリットを得られる領域です。
日本のプロジェクトで気になるものはありますか?
NEM版インスタグラムの「Nemgraph」はとても興味があります。RiNGのproof of ownershipのような機能もあり、写真を売ることも可能で、XEMによる投げ銭も可能です。
私はインスタグラムのアクティブユーザーなので、NEMのブロックチェーンを使う事でインスタグラムを更に進化させたアプリが出てくるのがとても楽しみでワクワクしていて、待ち遠しいです。早く実際に使ってみたいです。
そういえば、私の日本の友人でもFloraのインスタグラムの更新を楽しみにしている人を知っています。Nemgraphのローンチはもういよいよなので楽しみですね!
日本のNEMコミュニティに対する印象をお願いします!
私はNEMコミュニティが好きです。彼らはとてもアクティブで情熱的で、多くの優れたプロジェクトをNEMブロックチェーン上で創っています。NEMlogやRacoon ウォレット、開発中のNemgraphなど、様々なプロジェクトがあります。
私は、日本のNEMコミュニティーから時々出てくる綺麗なNEMグッズも好きです。私が前回日本に訪れた時、NEMネックレスを買いましたがとても素敵な品質で驚きました!これからも色んな素敵なプロダクトが日本から生まれるのが楽しみです。
私もtwitter上でNEMグッズをたくさん見てきました!可愛いものが多いですよね。
日本のNEMコミュニティは、他の国と何か違いがありますか?
やはり、それぞれの国が少しずつ個性があります。日本は技術者がコミュニティをリードしている点でユニークだと思います。他の国だと、やはりマーケティングやトークンの値段を気にする人が多い傾向があります。
日本は、ブロックチェーン技術と暗号通貨の両方が他の国よりもかなり浸透している方の国だと思います。なので、日本のNEMコミュニティはとても成熟して高いモチベーションをもっていて、多くの深い議論が日本から生まれています。日本のコミュニティはNEMにとって大きなインパクトがあり、私達は共に成長し学びあっています。
2018年から2019年前半はブロックチェーン業界にとって冬の時代でしたが、ブロックチェーンマーケットについてどう考えていますか?
業界全体にとっては良かったと思います。かつてはあまりに多くのハイプやポンジスキームがあり、規制も追いついていませんでした。
ベアマーケットの中でも真剣にブロックチェーンに取り組んでいるチームは、リアルな目的の為の多くの優れたプロジェクトを開発してきたのを見てきました。なので、真剣なディベロッパーやアントプレナーにとっては開発に専念できる良い時期でした。
2019年後半は、ブロックチェーン業界はどんな年になると思いますか?
ブロックチェーンはより一層メインストリームになっていくと思います。完全に非中央集権的な形ではなく、既存の産業構造とのハイブリッドになるでしょう。 各産業界のリーダーや規制当局と議論したり勉強するのが楽しみです。
ハイブリットになっていく時に、Floraの過去の実績などがとても役に立ちそうですね!
トークンホルダーについてアドバイスはありますか?
信じたものをHODLしましょう。良いユースケースや、ブロックチェーンが解決している物事を見つめましょう。ただし、クリプト業界であろうとそうでなかろうと、どんな投資にもリスクはあるものです。
現在のブロックチェーン業界やマーケットの課題は何だと思いますか?
現在のブロックチェーン業界の問題点は、暗号通貨としての側面に目を向けすぎて、テクノロジーへの興味が薄い事です。そして、暗号通貨への過度の関心が世間にネガティブなイメージを与えています。
既存のチェーンについても色んな問題があります。スケーラビリティがある代わりに安全性に課題があったり、機能が制限されるものもあります。逆に、安全で機能的な代わりにスケーラビリティに問題がある場合もあります。
スケーラビリティ、安全性、機能性のバランスをとる答えがNEMの「Catapult」になるということですか?
はい、NEMのCatapultは多くの問題に対する答えになると強く思っています。
私たちは、社会にある既存の問題に対してブロックチェーンがどのように解決策を提供できるのか、ブロックチェーンを使う事でどういうメリットがあるのかを示さないといけません。
Floraがビジネスをやる上で最も大切にしている事は何ですか?
倫理とオープンマインドです。しばしば人々は、NEMにとって競合は何かと聞きますが、私は競合は居ないと思っています。何故なら、私たちは皆ブロックチェーンを次のレベルに引き上げる為、共に活動しているからです。
ブロックチェーンは革命的な技術だからこそ、私たちはこれが社会現象になるような活動していかないといけません。
その答えは、とても心に響きますね。
Floraが今最も挑戦したい事は何ですか?
もし私がコードを書けて、プログラミングができれば、多くの人との会話をより深く理解でき、物事はもっと楽になるだろうと思っています。そして、人生がより豊かになると思います。
その気持ち、痛いほどわかる!(笑)
未来に対しては、どのようなビジョンをもっていますか?
私は、ガンディーの唱えた非中央集権、自己規律、非暴力の世界を信じています。しかし、その実現の為には人々には良き教育、強いマインドセット、高い倫理感が必要です。私たちは健康的で持続可能な将来を創る為に、団結し、多くのデータを分析していかなければいけません。
インタビューをするのにお勧めの人はいますか?
D-wave(Quantum Computing)のVern Brownellですね。彼のブロックチェーンに対する意見を聞いてみたいので。
世界初の商用量子コンピューターを創った会社だよね。確かに、量子コンピューターを創ってる人からすると現在の暗号システムはどう見えているのか気になる。
10年後、世の中はどうなっていると思いますか?
10年後には、ブロックチェーンは世界のありとあらゆるところで使われるようになり、空気や水のように、人々がその必要性を普段は認識しないほど、あらゆるところに組み込まれていると思います。
ブロックチェーン業界以外で尊敬するアントレプレナーはいますか?
ビル・ゲイツ氏です。彼が成功したビジネスマンというだけでなく、妻のメリンダ氏と一緒に財団を作り、世界の社会問題に対して積極的に活動しているからです。彼は絶えず実験し、より大きな原因解決の為に前向きな結果を出し続けています。ビル・ゲイツ氏の最も好きな言葉があります。
“人類の最大の進歩はその発見にあるのではなく、それらの発見がいかにして不平等を減らすために適用されてきたかにある。民主主義、強力な公教育、質の高い医療、または幅広い経済的機会を通じて、不平等を減らすということが人類最大の功績です。”
あなたが感銘を受けた本や映画はありますか?
私の好きな映画の一つは、『Momento』です。それは実験的で哲学的な自己同一性を追及する作品で、普段と逆の時系列で行われます。主人公は重度の脳損傷を被り、短期間の経験から長期記憶を生み出すことができなくなりました。この作品は、脳はどうやって記憶を構築し整理しているのかの疑問を提示します。
記憶のメカニズムって面白いよね。初めて会うのに懐かしい感じする人とかいますし。
そう、時々人は一度も経験していない事を覚えていたりします。
神経科学や行動パターンはとても興味深いトピックで、私達の脳内で記憶が処理されているシステムや、記憶がどう感情に影響しているかを探索していくのは興奮します。そして、VRの発明も凄く惹かれるものがあります。
どこの国が好きですか?
私は台北で生まれ、バンクーバーで育ち、多くの国を旅して過ごしてきました。なので特定の好きな国とかはなく、一年の間でも違う国で過ごしている光景をいつもイメージしています。
それぞれの国ではどんな過ごし方が好きなのですか?
そうですね。春は日本が好きです。私は毎年春は、母親と一緒に花見や温泉にいきます。日本の食べ物や海産物も好きです。夏は、バンクーバーが好きです。いつも暑すぎることはなく、気候は最高です。
秋はNYの活気に満ちた紅葉が好きです。冬はスノーボードが楽しめるどこかの街に滞在したいですね。
凄い素敵な時間の使い方!そんなFloraの趣味は何ですか?
学生の頃はアート専攻だったので、パステル絵具とアクリル絵具で絵を描いていました。
私はeSportの大ファンで、オフライン・オンライン共に幾つかの大会でチャンピオンになったことがありました。この二年間は、リーグオブレジェンドの決勝戦を観客として行っています。
凄い!そんなプロゲーマーの側面があったなんて意外です!
ゴルフも追いつけるようになりたいけれど、なかなか練習する時間が無いです。(笑)
旅の途中では、多くの時間を読書や書き物に費やしています。実は、今年日本にスノーボードを滑りに行く予定もあります。
楽しみですね!
ブロックチェーンを一言で言い表すと何ですか?
『合意』ですね
この革命に名前をつけるとすると、何でしょうか?
『経済と技術のバランス』かな
FLoraが歴史の本に載るとしたら、どのような人として評されたいですか?
歴史の本に載る前に、私は自分の本を書きたいと強く思ってます。自伝ではなく、私の人生、インスピレーションや価値観、もしかすると幾つかの詩的なものをシェアするための本です。
以前は毎日日記を書き、日々の色んな些細な事を記録していました。私が日々吸収したものや、感じたこと、アイデアを集めるのに良いプロセスだと思います。
Floraの繊細な感性が詰まった本ができるかと思うと今からとっても楽しみです!
その頃には、出版業界にもブロックチェーンが普及してそうですね。
今日は時間作ってくれてありがとう!

Flora氏のチャーミングでフレンドリーな一面だけではなく、今回のインタビューで彼女の奥深さを感じてもらえたのではないだろうか?

ガンディーの唱えた非中央集権、自己規律、非暴力の世界を信じ、実現の為に行動をしている人がいる。あらゆる思想は一朝一夕では成し遂げられない。このように世代を超えて紡がれていくのだろう。もし新たな技術(例えばブロックチェーン)が、ガンディーの願っていた世界を実現することに一役担うとしたら、きっと今までにない面白い世界が広がるに違いない。


記事編集:The Nodist編集部
現地取材サポート:絢斗 優